凶悪、法律ってすげーなー、当たり前だけど映画版より真に迫ってた、当たり前だけど


『凶悪 ある死刑囚の告発』

凶悪―ある死刑囚の告発 (新潮文庫)

読み終わりましたので、感想をつらつらと。

 

この本を読んだきっかけは、以前に観た映画『凶悪』がプライムビデオで配信されていたので、復習がてらに購入しました。

凶悪

 

 

ぶっこむぞ!」って映画オリジナルなんですね!

あとピエール瀧ってVシネ系出身のの役者かと思ってましたがミュージシャンだったとは……

 

この本は新潮45現在は休刊)の記事をまとめたもので、

ある死刑囚がまだ明るみに出ていなかった三件の殺人事件を告発した内容が載っています。

本の構成として、死刑囚が著者(記者)に連絡を取るところから、事件の収束までを時系列順にまとめてあります。

読みやすさは、まぁまぁです。内容が内容なので、自分のメンタルと相談しながら読みすすめる感じになると思います。

 

すげーっ、て思ったところがあって

雑誌に掲載される際、殺人事件の「嫌疑がかけられている」段階では実名報道はされないそうです。警察に逮捕されて初めて実名報道されます。

この本は、時系列にそってまとめてあるので、最初の方の章では名前が伏せられていた人物が、最終章になると実名が載っているんです。

 

ヒトひとり逮捕するということは、警察も検事もメディアも裏付けをしっかりとって無実の一般市民の人生を狂わさないよう慎重に証拠を集めて初めて出来るということなんだな、と思いました。

 

この事件の概要をまとめると、

ある死刑囚が、まだ明るみになっていない事件があり、しかも共犯者がいたという告発を新潮45の記者に依頼します。

そして、記事の掲載と共に警察に通報する所から始まります。

警察への通報は慎重に行われ、半年以上執念の取材をレポートにまとめたものを提出したそうです。

しかし、実は警察もその通報された事件はある程度捜査をしており、不信な点は見受けられるものの決定的な証拠がなく、

被害者の家族も自殺だと言っていることから(被害者の家族も共犯者)事件性は無いものとし、お蔵入りになっていたのでした。

 

それを、もう一度掘り返す事ができたのは雑誌だけだったのです。

テレビや新聞など「記者クラブ」(特ダネをもらう代わりに報道するタイミングなどは情報源が決める会員制のクラブ的な?)に属するメディアだったら、もしかしたらそのまま警察に情報を握りつぶされていたかもしれなかったのです。

 

雑誌すげぇや!

 

惜しむらくはその新潮45が休刊になってしまったことですね…。